■ 医療法人M&Aの「合併」とは何か?
医療法人におけるM&Aでは、単なる株式譲渡や事業譲渡にとどまらず、「合併(Merger)」という選択肢もあります。
これは、複数の医療法人を一つに統合し、経営の効率化・スケールメリットを追求するスキームであり、特に以下のようなケースで活用されます。
- グループ内に複数の医療法人を抱えるケース
- 分院展開により、運営の一元化を図りたいケース
- 地域医療連携をより強固にする必要があるケース
■ 合併の典型パターンとフロー
【吸収合併】
一方の法人が存続し、もう一方が解散してその権利義務を包括的に承継する。
【新設合併】
両法人が解散し、新たに設立される法人にすべての権利義務を承継する。
【合併フローの一例】
- 理事会決議
- 合併契約書の締結
- 合併公告・債権者保護手続き
- 社員総会の特別決議(医療法上の承認も必要)
- 解散法人の清算登記、合併法人の登記変更
■ 成功事例:2法人の合併により経営安定を実現
【背景】
A法人(内科系中心)とB法人(歯科中心)が同一エリアに展開しており、診療内容や患者層が重複。
→ 医療資源の最適化を目指して合併を実施。
【取り組み】
- 経理・人事・システム部門を一元化しコスト圧縮
- 医師・歯科医師の連携診療体制を構築
- 合併後の新体制では、「法人統括本部」を設置し、ガバナンスを強化
【結果】
- 経常利益率:4.2% → 8.9%
- 医師・歯科医師のクロス紹介による診療機会の拡大
- 人件費率・一般管理費率の削減に成功
■ 経営統合を成功させるための要点
- 文化の融合
組織風土・診療スタイルの違いを理解し、現場スタッフ間での対話機会を増やすことが重要。 - 人事制度の統一
給与・賞与・評価制度の不整合が起きないよう、統合前にフラット化を進める。 - IT・システムの統合
カルテ・会計・勤怠など、バックオフィス業務のDX化を並行して進める。 - 理事会体制の再設計
新体制の理事・監事・社員構成を慎重に見直す必要がある(医療法上の要件含む)。
■ M&Aによる合併は「持続可能な経営基盤」をつくるチャンス
人口減少・診療報酬の抑制・人材不足といった外部環境の中で、医療法人が単独で生き残るのはますます困難になっています。
その中で、**合併による統合的な経営体制の構築は「生き残るための選択肢」**であり、決して消極的な戦略ではありません。
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