- はじめに:M&Aで訪問歯科へスムーズに参入するには
超高齢社会を迎える日本では、在宅療養者への訪問歯科診療の需要が年々高まっています。
M&Aを活用することで、訪問歯科のノウハウや契約先を引き継ぐことができ、ゼロから始めるよりも圧倒的に効率的です。
特に、既に訪問体制を持つ医院の承継は、人材・機材・契約施設・信頼関係の“無形資産”も手に入れるチャンスでもあります。
- 訪問歯科M&Aの3つのメリット
メリット |
内容 |
① 安定収入の確保 |
保険収入ベースのため、外来に比べて収益が安定しやすい |
② 地域医療ネットワークの構築 |
施設やケアマネとの関係性を引き継げる |
③ 医院の空き時間を有効活用 |
外来の谷間時間に訪問を組むことで、診療効率が上がる |
- M&A前に確認すべき“訪問歯科の資産”とは?
- 契約施設の数と継続性
- 施設側との信頼関係の有無
- 契約内容(口約束ではないか、文書化されているか)
- 訪問チームの体制
- 担当歯科医、歯科衛生士、コーディネーターの有無
- 離職リスク(院長主導型か、チーム運営型か)
- 訪問用機材の保有状況
- ポータブルユニット、レントゲンなどの設備
- 在宅医療との連携強化策
- ケアマネジャー・包括支援センターへの定期訪問
- 買手自ら挨拶に出向き、新体制の顔を覚えてもらう
- 施設向け勉強会・口腔ケアセミナーの開催
- 貢献姿勢を示すことで、新規施設との契約が進みやすい
- 医科との連携:内科・耳鼻科・リハビリ科など
- 複数科連携による誤嚥性肺炎の予防などで保険加算も狙える
- 成功事例:訪問歯科M&Aの活用
■ 事例A:施設10カ所との契約を引き継ぎ安定収入に
- 1施設あたり月10~20万円の訪問診療報酬
- 買手は既存外来の診療時間をずらし、人員追加なしで黒字化
■ 事例B:訪問専門チームを新設して拡張展開
- 引継ぎ後にエリア拡大し、訪問売上が医院全体の40%に到達
- 留意点:訪問診療は“関係性ビジネス”
- 単なる「施設一覧の引継ぎ」では意味がない
- 現場の信頼関係を損なわないよう、訪問スタッフの継続が重要
- コーディネーターがいない場合は訪問業務が属人化している可能性あり
- まとめ:M&Aは訪問歯科展開のショートカット
新規開業で訪問歯科に参入するには、施設開拓・人材育成・ノウハウ構築に大きな時間とコストがかかります。
しかし、M&Aなら既存の仕組みをそのまま引き継ぎ、すぐに訪問事業を開始できるのが最大の魅力です。
医療DXや在宅医療政策とも親和性が高く、今後の歯科医院の成長戦略として注目すべき分野です。