TOKAI M&A support center

コラム

COLUMN

M&Aと医療法人のガバナンス:理事長交代のポイント

Ⅰ. はじめに

歯科医院のM&Aにおいて、「医療法人かどうか」は大きな分岐点です。特に医療法人の場合、単なる経営者の交代ではなく、理事長という法人の代表者変更=ガバナンス構造そのものの見直しが求められます。今回は、医療法人における理事長交代の実務ポイントと注意点を整理します。

Ⅱ. 医療法人における理事長の役割

理事長は、医療法人の代表権を有する者であり、法人としての契約、届出、金融取引、保険請求などあらゆる対外的活動における「顔」となります。M&Aではこの役職の変更が不可欠ですが、同時に以下のような構造的な配慮も必要です。

  • 理事会構成の変更
  • 社員総会(持分あり法人)の承認
  • 定款変更や登記変更
  • 厚生局や保健所への届出

Ⅲ. 理事長交代を伴うM&Aの進め方

M&Aにおいて、理事長交代をどのタイミングで行うかは非常に重要です。以下の2つが一般的なモデルです。

■ 移行期間付き交代型(段階的):

旧理事長がしばらく残留し、顧問的な役割を担いながら、新理事長が現場を引き継ぐ形。
→ 患者やスタッフの混乱を最小限に抑えられる。

■ 即時交代型(一括交代):

株式譲渡や事業譲渡と同時に理事長も交代。
→ スピーディな運営体制変更が可能だが、引継ぎ不十分だと混乱のリスクも。

Ⅳ. 実務上の注意点

  • 理事長変更の登記には理事会議事録や社員総会議事録が必要。
  • 保険医療機関指定の再申請や、銀行口座・契約名義の変更も必要。
  • 新理事長の医師資格や常勤性などが要件となる(医療法上の要件)。

Ⅴ. ケーススタディ

■ ケースA(段階的交代)

旧理事長が1年間顧問として残留。買い手は副理事長に就任し、翌年正式に理事長へ就任。
→ 現場の信頼性が維持され、スタッフの離職もゼロ。

■ ケースB(即時交代)

契約と同時に理事長交代を実施。前理事長は完全引退。新体制で業務効率を一気に刷新。
→ 一部スタッフが離脱したが、新人採用により半年で補完。

Ⅵ. まとめ

  • 理事長交代は「役職変更」ではなく、法人の支配構造そのものの移行です。
  • 移行プロセスの丁寧さが、その後の法人経営の安定性に直結します。
  • 専門家(弁護士・税理士・M&Aアドバイザー)を交え、法的手続き・ステークホルダー対応・届出業務を整理しましょう。

検索キーワード

歯科医院 M&A 理事長交代
医療法人 ガバナンス変更
クリニック 経営者交代 M&A
理事長変更 名古屋 歯科
医療法人 定款変更 承認
社員総会 M&A 歯科
理事会構成と登記変更
歯科医院 顧問継続と交代
医療法人 届出 厚生局
歯科 医療法人 売却戦略

👉 当社では、小規模クリニックや歯科医院のM&A仲介、アドバイザリーサービスを提供しております。詳細は以下のサイトをご覧ください。
👉 https://www.medical-ma.jp/