Ⅰ. はじめに
歯科医院のM&Aにおいて、意外と見落とされがちなのが「銀行との関係」です。特に医療法人の場合、借入金の引継ぎ・保証人の変更・融資契約の見直しなど、金融機関との交渉は成功の鍵を握る要素の一つです。本稿では、M&A時における銀行対応の実務と注意点を解説します。
Ⅱ. 医療法人と銀行の関係性
■ 医療法人の主な借入先
- 日本政策金融公庫(旧国金)
- 民間金融機関(地銀・信金など)
- メーカー系リース・信販会社
■ よくある借入内容
- 開業資金(設備・内装)
- 運転資金(資材・人件費)
- 不動産ローン(自社所有の場合)
Ⅲ. M&Aにおける銀行交渉の論点
- 連帯保証人の変更
- 多くの医院では、理事長個人が連帯保証人になっている
- M&A後は「買い手法人」や「新理事長」への保証切替が必要
- 銀行の承諾がなければ、旧理事長が退任後も責任を負い続ける
- 借入金の承継方法
- 借入金を新法人が引き継ぐか、残債は売却前に一括返済するか
- 金額・条件・キャッシュフローを考慮して選択
- 金融機関への説明資料
- 決算書・事業計画書・M&A概要書類を準備し、信頼確保
- 新体制での返済能力や事業継続性を説明できるかがポイント
Ⅳ. 交渉の流れとタイミング
ステップ |
内容 |
① 初期相談 |
M&A実施の方向性を共有 |
② 借入明細の開示 |
契約書・残債・保証内容の確認 |
③ 保証切替交渉 |
承継者側の信用調査、担保再設定など |
④ 契約再締結 |
変更契約書作成 or 借換え実施 |
Ⅴ. ケーススタディ
■ ケースA:公庫の借入あり
公庫の返済が10年後一括だったが、買い手が保証人になることで承継。書面の再契約でスムーズに解決。
■ ケースB:保証解除トラブル
売り手が「保証解除されたと思っていた」が実際は残っていた。3年後に買い手が返済遅延し、旧理事長に請求が。
Ⅵ. まとめ
- 銀行との調整はM&Aの初期段階から着手することが重要
- 保証人・借入の承継条件・契約更新の3点を押さえて交渉を進める
- 事業価値だけでなく、金融信用の移行が成功のポイント
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