Ⅰ. はじめに
歯科医院のM&Aにおいて、不動産の扱いは譲渡のしやすさ・価格・リスクに大きく影響します。特に「賃貸物件」か「自社所有」かによって、取引の実務・評価方法・交渉戦略が大きく異なるため、慎重な検討が必要です。本稿ではそれぞれのメリット・デメリットとM&A上の考え方を整理します。
Ⅱ. 賃貸物件の場合の特徴
■ メリット:
- 【流動性が高い】→ M&Aが成立しやすく、参入障壁が低い
- 【初期投資が不要】→ 購入資金が不要なため、新規参入者に人気
- 【物件変更がしやすい】→ 将来的な移転・増改築の自由度が高い
■ デメリット:
- 【契約条件の引継ぎが必須】→ オーナー(貸主)の承諾が必要
- 【家賃改定・立退きリスク】→ 更新交渉や解約条件に注意
- 【資産性がゼロ】→ 不動産が譲渡価格に含まれず、のれんだけが評価対象
Ⅲ. 自社所有物件の場合の特徴
■ メリット:
- 【安定性・信頼性が高い】→ 長期経営計画を立てやすい
- 【担保価値・資産性が高い】→ 売却価格に反映されやすく、交渉がしやすい
- 【自由な使い方が可能】→ 改装・業態転換にも柔軟に対応できる
■ デメリット:
- 【取得コストが高い】→ 購入資金・固定資産税など維持費が発生
- 【譲渡には不動産売買契約が必要】→ 登記・仲介・税務の手間が増す
- 【立地移動が難しい】→ 市場環境に応じた柔軟性に欠ける場合も
Ⅳ. M&Aにおける戦略的活用方法
■ 売り手の視点:
- 賃貸の場合は「のれん+診療体制」を売るビジネスモデル
- 自社所有の場合は「医院+不動産」を一体で売却することで高値が狙える
■ 買い手の視点:
- 開業資金の制約があるなら賃貸医院が有利
- 長期安定経営やリース対策を考えるなら自社所有の引継ぎが望ましい
Ⅴ. ケーススタディ
- 【ケースA】都市型クリニック(賃貸)→ オーナー交渉済でスムーズに譲渡。移転も選択肢に。
- 【ケースB】郊外型自社所有→ 土地建物込みで売却額が高くなるが、登記と税務調整に時間がかかる。
Ⅵ. 注意点
- 不動産に抵当権がついていないか要確認
- 賃貸の場合、契約の「名義変更」や「再契約」が必要なことも
- 引渡しまでの間の修繕責任・設備移管について明確にしておくこと
Ⅶ. まとめ
- 賃貸 vs 自社所有のどちらが良いかは「売り手の資産背景」と「買い手の投資意欲」によって変わる
- 不動産の扱いは、医院M&Aの交渉結果・契約スキーム・スピード感に直結するため最重要
- 契約書・税務・登記の観点も踏まえた実務対応が必要です
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