Ⅰ. はじめに
歯科医院のM&Aを検討する際に避けて通れないのが、「医療法人の形態」です。特に、「持分あり」医療法人と「持分なし」医療法人では、譲渡方法や評価、相続・税務、そして出口戦略に大きな違いがあります。本稿では、それぞれの特徴とM&A上の実務ポイントを解説します。
Ⅱ. 「持分あり医療法人」の特徴とM&A
■ 特徴:
- 出資持分があり、出資者は持分割合に応じて財産を請求可能
- 相続財産となるため、相続時の評価額が問題になることも
■ M&A上のメリット:
- 出資持分を売却することで、譲渡益が発生
- 株式に近い感覚での取引ができ、売却価格の算出がしやすい
■ デメリット:
- 相続税評価額が高騰しやすい
- 他の出資者との調整が必要になるケースも多い
Ⅲ. 「持分なし医療法人」の特徴とM&A
■ 特徴:
- 出資という概念がなく、出資金は寄付とみなされ返還されない
- 設立後の法人財産は、すべて法人のもの(個人には帰属しない)
■ M&A上のメリット:
- 相続税対策になる(持分がないため課税対象が減る)
- ガバナンスが明確で、公益性の高い事業継続が可能
■ デメリット:
- 出資金の引き上げができないため、譲渡益を取り出すことが難しい
- M&Aの対価はのれんや役員退職金などに依存
Ⅳ. どちらがM&Aに適しているか?
比較項目 |
持分あり法人 |
持分なし法人 |
売却益の取り出し |
◎ |
△(退職金など) |
相続税対策 |
△ |
◎ |
ガバナンスの明確さ |
△(出資者が複数だと難) |
◎ |
法人継続性 |
△ |
◎ |
売却後の自由度 |
◎ |
△ |
Ⅴ. ケーススタディ
■ ケースA:持分あり法人の売却
出資持分を1億円で譲渡し、M&A後に理事長を交代。旧代表は退任金を受け取り、完全リタイアを実現。
■ ケースB:持分なし法人の譲渡
理事長交代のみで法人財産はそのまま。買い手法人は新たな診療体制を構築し、ガバナンス強化へ。
Ⅵ. まとめ
- 持分あり法人は「売却益が得られる」反面、相続税やガバナンスで課題あり
- 持分なし法人は「公共性と継続性」が高く、相続税対策にも有効
- 自法人の構造を正確に把握した上で、税務・法務を考慮したM&A設計が重要
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